zibibbo

イタリア語を勉強しています

Libro: プルーストとイカ

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読むってどういうことなのか、外国語が読めるとはどういうことなのか知りたくて、

"プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?"
メアリアン ウルフ

を読んでみた。

アルファベットの成り立ち。 本来文字を読む機能を持っていない人類がどうして文字を読むことができるようになるのか。 また文字を読むことができないディスレクシア(読字障害)とはどういうものなのかが書かれた本だった。 会話はできるがまだ文字を読むことができない子供がその能力を獲得するプロセスについての話であって、外国語習得についての話はなかったがこれからの学習に役立ちそうな情報がいくつかあった。

言語によって違う文字を読むときの脳の活動

最初に驚いたのが、英語と中国語と日本語の読み手は脳の活動する部分が異なるということ。 同じ読むという行為でも、脳の使い方というべきか、使う場所というべきか、とにかく違うらしい。 だから、中国語と英語のバイリンガルが脳の一部を損傷した結果、中国語だけ読むことができなくなってしまったという例があるそうだ。 人は生まれながらに文字を読むことはできない(そのような遺伝子のプログラムはない)ので、脳の構造を組み替えて読字の能力を手に入れる。 その過程でアルファベット、漢字、かな、それぞれを読むのに都合のいい部分に頼るようになり、違いが現れるらしい。

だから英語がスラスラと読めるようになるには、脳が適合するまで訓練が必要だってこと。 たとえ語彙や文法がしっかりしていても、そう簡単にはいかないことだったんだ。

ぼくが語学を学ぶのはコミュニケーションのためというより読書のためなので読むことはできるようになりたい。 出来ればスラスラと。 イタリア語は綴りと発音が規則的だからもう読み上げることはできる。 でも意味が取れないうちから朗読するのは効果があるんだろうか?

次は、うすうす分かっていたけど英語では実感できなかったこと。

アルファベットは発音記号

音素をシンボル化したもの、それがアルファベットなんだそうだ。 そんなこととはつゆ知らず、英語を勉強していた時はアルファベットはただの記号だと思っていてた。 綴りと発音は不規則だし発音記号という別の記号もあったしね。 だけどイタリア語を学んで、イタリア語の文字と発音の関係がとても規則的なのを知ると納得できる。

文字に慣れて、文字が当たり前になり、そして文字を頼りに言葉の勉強を始めると"文字=意味"になてしまうけど、アルファベットが表しているのは音。 そしてその音にイメージや概念が詰まっている。 話し言葉が先で書き言葉はずっと後に生まれたものだからね。

日本語は絵的で音声として再生しなくても意味を読み取ることができるから英語もそうできると思ってたけど、文字から音を常に再生してみることが重要なのかもしれない。

発音について

日本語のかなは母音と子音をまとめて表しているので母音と子音の区別が生まれにくい。 だから二重子音とかが感覚的にわからない。

読字障害に取り組むためには、幼い読み手たちに音素認識と書記素と音素の対応を系統立てて明示的に教えるプログラムに勝るものはないと実証している。 プルーストとイカ p260

これは文字を読むための話だけど、日本人がほかの言葉を学ぶ時にはまずこういうことから始めないと音に敏感な一部の人にしかその言葉が使えるようにならない気がする。

聞き取りに関する部分

音声単位をどう分割すればよいかは、その意味と文法上の役割、形態素の存在に加えて、リズム、強勢および抑揚によるキューによって知ることができる。 プルーストとイカ p106

語彙も文法も必要。

語彙も文法もないと聞き取れないけど、その前提条件としてすべての音が聞こえている必要がある。 まずはすべての音が聞き分けられるようになるまで耳を鍛えることが重要だよね。